便潜血検査について

便潜血検査とは

一般の検診における「便検査」とは、便に血が混じっているかどうかを調べる「便潜血検査」になります。便検査の結果そのもので大腸がんが有る、無いを正確診断できるものではありません。現在、ほとんどの検診施設が用いている「便潜血検査(免疫法)」は、人間の血液の一部である赤血球に含まれるヘモグロビンに反応する抗体を用いて、便に血が含まれているかどうかを捕らえています。人間の赤血球のみに反応するので、食物として摂取した生肉などには影響しません。また胃潰瘍などの胃の出血にも反応しにくいようにできています。ほとんどの検診施設は、2日分の便検体で判定します。

便検査が陽性だったけれど、痔もあるしな…

便潜血が陽性だったけれど痔もあるしな…こう思いながら便潜血が陽性だったのに、大腸カメラを受けて頂けない方がいらっしゃいます。確かに「便検査でひっかかって大腸カメラを受けたのに、大腸には何の病気も見つからなかった」という方が便潜血陽性者の3割ほどいらっしゃいます。逆に言えば、便潜血陽性者の7割の方に大腸の病気が見つかります。大腸の病気と聞くと、一番初めに思いつくのは、大腸がんでしょうが、実は便潜血陽性者のわずか数%にしか大腸がんは見つかりません。多くは、大腸ポリープ、大腸憩室、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)です。「なんだ、がんでは無いのか」と軽視しがちですが、実はこれらの病気は将来、がん化するリスクが高い病気です。実際に検診で便潜血検査が行われるようになってから、大腸カメラを受けてただく方の数が増え、大腸がんの死亡者割合は年々減少しています。
では幸い、大腸に何も病気が見つからなかった3割の方の原因は何でしょう。やはり多くは、痔や月経血が原因ということが考えられるわけですが、まれに白血病などの血液がんや肝硬変など大腸に病気がなくても便検査が陽性になる疾患があります。大腸カメラで大腸に病気がないことを確かめたうえで、さらに考えられうる稀な疾患がないか突き止めていただくことは、決して
無駄とは言えません。
つまり便検査が陽性であったことは、決して「痔からの出血だろう」などと侮れることではなく、そのうち7割もの方に大腸がんもしくはその前がん病変が見つかることを認識しなければいけません。結果を真摯に受け止め、勇気を出して大腸カメラを受けていただきたいです。

便検査が陰性なら大腸がんは無いのか?

「最近おなかの調子が悪いのだけれど、便検査が陰性だったので、大腸がんではなさそうで安心している」とおっしゃる患者様がいらっしゃいます。では、陰性だったら、大腸がんは無いと断言できるのでしょうか?実はそうではありません。便検査では3割の方に大腸がんの見逃しがあるといわれています。
以前に、「大腸カメラで大腸がんが診断された方に、便検査を受けていただく」という研究がいくつかなされました。高い陽性率が出るものと予想されていましたが、予想外に低い確率でした。その陽性率は研究ごとにばらつきがあり、低いものではわずか30%、高いもので90%程度でした。当初は大腸がんが、早期なのか、進行がんかで陽性率が変わったのだろうと推測されましたが、がんの進行具合と陽性率は関係していなかったと結果がでました。陽性率の違いの原因は、便の採取回数によることがわかりました。1回しか採便しなければ、便潜血陽性になる確率は最も低く30~40%程度、2回分の便を検査する方法では70%程度、さらに2年連続(のべ4回)で91%程度と、採便の回数を重ねるごとに陽性率が高くなる(大腸がんを見逃しにくくなる)ことが分かったのです。
このため、現在日本では2回法を用いる施設が大半です。しっかり2回分の採便が提出されれば、おおむね大腸がんの方の70%を正確に陽性と診断しているといえます。しかし、逆に言えば
大腸がんに罹患されている方の30%の方が、便検査陰性として見逃されているのです。
便検査が陰性であっても決して安心せず、体調に耳を傾け、異変を感じたら、大腸カメラを受けていただくことをおすすめします。

 

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